事実婚は「ずるい」のか?法的メリットを享受しつつ責任を回避する?誤解されがちな実態と真のメリット・デメリットを徹底解説

「事実婚はずるい」という声の裏には、法的メリットのいいとこ取りという誤解があります。

法律婚との違い、税金や相続のデメリット、そしてなぜ彼らが事実婚を選ぶのか、その合理的理由と覚悟について徹底的に解説します。

近年、著名人が選択するなどして注目を集めている「事実婚」。

婚姻届を提出せず、法律上の夫婦にはならないものの、実質的には夫婦同様の生活を送るこのスタイルに対し、一部では「事実婚はずるい」という声が聞かれます。

「結婚のいいとこ取りをしている」

「責任から逃げているだけではないか」

「別れた時のリスクを回避している」

このようなネガティブなイメージを持たれることも少なくありません。

しかし、本当に事実婚は「ずるい」選択なのでしょうか? 法的な縛りがないことで、都合よく甘い汁を吸っているだけなのでしょうか?

実態を紐解いていくと、事実婚には法律婚にはない自由さがある一方で、税制面や相続面での大きな不利益や、社会的信用の壁など、決して無視できないデメリットも存在することがわかります。

彼らが事実婚を選ぶ背景には、単なる「責任逃れ」ではなく、現代社会における多様な価値観や、切実な事情が隠されていることも多いのです。

本記事では、競合する数多の情報を徹底的に分析・統合し、「事実婚はずるい」と言われる理由を深掘りしつつ、法律婚との決定的な違い、メリット・デメリット、そして事実婚を選択するカップルの心理までを網羅的に解説します。

表面的なイメージだけでなく、制度の仕組みと実態を正しく理解することで、これからのパートナーシップのあり方について、新たな視点が得られるはずです。

目次

なぜ「事実婚はずるい」と言われるのか?5つの誤解と心理

「事実婚はずるい」と感じる人々の背景には、いくつかの誤解や、伝統的な結婚観とのギャップが存在します。

まずは、なぜそのような感情が生まれるのか、その心理的な要因を5つの視点から分析します。

1. 「いいとこ取り」をしているように見える

法律婚の煩わしさ(親戚付き合いや家父長制的な縛り)を回避しつつ、パートナーとしての愛情や共同生活のメリットだけを享受しているように見えるため、「いいとこ取りでずるい」と感じられます。

特に、結婚制度に窮屈さを感じている既婚者からすると、自由に見える事実婚カップルは羨望の対象となり、それが「ずるい」という感情に変換されやすいのです。

2. 「責任逃れ」をしているという偏見

「いつでも簡単に別れられるようにしている」「法的な責任を負いたくないから籍を入れないんだ」という見方です。

婚姻届という契約を交わさないことは、覚悟が足りない、責任から逃げていると解釈されがちです。

しかし実際には、事実婚であっても法律婚に準じた義務(同居・協力・扶助義務など)が発生するため、無責任に生活できるわけではありません。この法的な実態が知られていないことが誤解を生んでいます。

3. 伝統的な家族観への挑戦とみなされる

「結婚=入籍」という価値観を重んじる層からは、事実婚は秩序を乱す異端な存在として映ります。

「ちゃんとするべきだ」「ケジメをつけるべきだ」という規範意識が強い人にとって、籍を入れないカップルは、社会的なルールを守らない「ずるい人たち」に見えてしまうのです。

4. 浮気や不倫の隠れ蓑にされやすいイメージ

一部の既婚者が「事実婚状態だ」と嘘をついて不倫関係を正当化したり、事実婚であることを隠して遊んだりするケースがあるため、ネガティブなイメージが付きまといます。

不誠実な関係の言い訳として使われることが、「事実婚=不真面目」というレッテルを強化しています。

5. 配偶者控除などの恩恵を受けていないという誤認

「税金の優遇を受けているのではないか」という誤解もありますが、実際には事実婚カップルは配偶者控除や配偶者特別控除の対象外です。

税制面では法律婚よりも不利な立場にありますが、それを知らずに「何か得をしている」と思い込んでいるケースもあります。

法律婚とどう違う?事実婚の定義と法的な権利・義務

「ずるい」かどうかを判断するためには、まず事実婚の法的な立ち位置を正しく理解する必要があります。

事実婚とは、「婚姻の意思があり、夫婦としての実体があるが、婚姻届を提出していない状態」を指します。単なる同棲とは異なり、一定の法的保護を受けられますが、法律婚とは明確な線引きがあります。

事実婚でも認められる権利・義務

判例上、事実婚は「準婚」として扱われ、法律婚に準じた保護が与えられます。

  • 同居・協力・扶助義務: お互いに助け合って生活する義務。
  • 貞操義務: パートナー以外と性的関係を持たない義務(違反すれば慰謝料請求の対象)。
  • 婚姻費用の分担: 生活費を分担する義務。
  • 日常家事債務の連帯責任: 日常生活で生じた借金などは連帯して責任を負う。
  • 年金・社会保険の扶養: 一定の条件を満たせば、パートナーの扶養に入ることができる(第3号被保険者など)。
  • 財産分与: 関係解消時には、共有財産を分けることができる。

事実婚では認められない権利(法律婚との違い)

一方で、法律婚夫婦には認められているが、事実婚カップルには認められない重要な権利があります。

  • 法定相続権: パートナーが亡くなっても相続人にはなれない。
  • 税金の配偶者控除: 所得税や贈与税の配偶者控除が受けられない。
  • 親権の共同行使: 子供が生まれた場合、母親の単独親権となり、父親は認知をする必要がある(共同親権ではない)。
  • 同姓を名乗る権利: 夫婦別姓が原則であり、戸籍も別々。

事実婚のメリット:なぜ彼らは籍を入れないのか?

「ずるい」と言われる一方で、あえて事実婚を選ぶカップルが増えているのには、合理的な理由があります。

彼らが享受しているメリットとは何なのか、具体的に見ていきましょう。

1. 夫婦別姓を貫ける(キャリアの継続)

現在の日本の法律では、法律婚をするにはどちらかが姓を変えなければなりません。

改姓によるキャリアの分断や、アイデンティティの喪失を避けるために、事実婚を選ぶカップルは多いです。

特に、仕事で旧姓を使い続けている女性や、研究者、経営者などにとって、改姓の手続きや周知のコストは甚大です。

事実婚なら、生まれ持った名前のまま、対等なパートナーシップを築くことができます。

2. 親戚付き合いや「家」のしがらみから解放される

「〇〇家の嫁」「長男の嫁」といった、日本の伝統的な「家制度」の縛りから距離を置くことができます。

お互いの実家とは適度な距離感を保ち、義両親の介護や墓守といった義務感から解放されたいと考える人にとって、戸籍上の繋がりを持たない事実は大きなメリットです。

あくまで「個と個」の結びつきを重視するスタイルです。

3. 関係の解消が(手続き上は)スムーズ

離婚届のような法的な手続きが不要なため、関係を解消する際のハードルが比較的低いです。

戸籍に「バツイチ」の記載が残らないこともメリットと言えます。

ただし、これは「簡単に別れられる」という意味ではありません。財産分与や慰謝料、子供の親権などの問題が発生すれば、法律婚と同様に泥沼化する可能性はあります。

あくまで「役所の手続きが不要」という点に限られます。

4. 自立した対等な関係を維持しやすい

法的な契約に縛られない分、お互いが自立し、緊張感を持って関係を維持しようとする意識が働きます。

「釣った魚に餌をやらない」状態になりにくく、常にパートナーとして選ばれ続ける努力をする必要があります。

この適度な緊張感が、マンネリを防ぎ、良好な関係を長く続ける秘訣だと考えるカップルもいます。

事実婚のデメリット:決して「いいとこ取り」ではない現実

「ずるい」という声に対する最大の反論材料が、事実婚ゆえの強烈なデメリットです。

法的な保護が完全ではないため、いざという時に大きなリスクを背負うことになります。

1. 相続権がなく、パートナーの死後に困窮するリスク

事実婚のパートナーには法定相続権がありません。

もしパートナーが急死した場合、遺言書がなければ、遺産はすべてパートナーの血縁者(親や兄弟)に渡ってしまいます。

長年連れ添い、二人で築いた財産であっても、住んでいた家を追い出されたり、生活資金を失ったりするリスクがあります。

遺言書を作成することで遺贈は可能ですが、相続税の配偶者控除(1億6000万円まで非課税)が使えないため、多額の税金がかかることになります。

2. 税制上の優遇措置(配偶者控除)が受けられない

所得税や住民税における配偶者控除、配偶者特別控除は、法律婚の夫婦にのみ適用されます。

また、医療費控除の合算も原則できません。

さらに、贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)も使えないため、居住用不動産を贈与する場合なども不利になります。

経済的な面では、法律婚よりも明らかに冷遇されているのが実情です。

3. 子供の親権・認知の手続きが複雑

事実婚カップルに子供が生まれた場合、母親の戸籍に入り、母親が単独親権を持ちます。

父親が法律上の父となるには「認知」の手続きが必要です。

現在の日本では共同親権の議論が進んでいますが、現行法では事実婚のままでは共同親権を持てないため、子供に関わる重要な決定(進学や医療など)において、父親の法的な権限が制限される場面が出てくる可能性があります。

4. 入院や手術の同意書でトラブルになる可能性

パートナーが意識不明の重体になった際、法律上の家族ではないため、手術の同意書にサインできなかったり、ICUへの面会を断られたりするケースがあります。

近年は医療機関の対応も柔軟になりつつありますが、緊急時に「家族であることを証明できない」というリスクは依然として残ります。

公正証書などで事前に対策をしておく必要がありますが、それでも現場の判断で拒否される不安は拭えません。

事実婚はずるくない!彼らが選んだ「覚悟」の形

ここまで見てきたように、事実婚は「いいとこ取り」どころか、多くの法的・経済的デメリットを引き受けた上での選択です。

彼らはなぜ、あえて茨の道とも言える事実婚を選ぶのでしょうか。そこには、現代的な「覚悟」の形があります。

制度に頼らず、個人の意思で結びつく覚悟

法律婚は、一度入籍すれば国が強力に保護してくれるパッケージプランです。

対して事実婚は、国のお墨付きがない分、自分たちで関係性を定義し、維持していかなければなりません。

公正証書を作成して契約内容を明確にしたり、お互いの尊厳を守るために努力したりと、主体的な関係構築が求められます。

「紙切れ一枚」に頼らず、愛情と信頼だけで繋がろうとする姿勢は、ある意味で法律婚以上に純粋で、覚悟のいる選択と言えるかもしれません。

多様な幸せの形を追求する権利

「結婚=入籍=同居=出産」という単線的なライフコースだけが正解ではありません。

同性カップル、選択的夫婦別姓を望むカップル、再婚同士で子供への配慮が必要なカップルなど、事情は様々です。

既存の枠組みに当てはまらない人たちが、自分たちらしい幸せを追求した結果が事実婚なのです。

それを「ずるい」と断じることは、多様性を否定し、個人の生き方を尊重しないことにつながります。

それでも「ずるい」と言われないために心がけること

事実婚カップルが周囲から誤解されず、良好な関係を築くためには、いくつかの配慮も必要です。

覚悟と責任を周囲に示す(公正証書の作成など)

「なんとなく籍を入れていないだけ」と思われないよう、二人の関係性を証明するものを準備しておきましょう。

「事実婚契約公正証書」を作成することで、法的な権利義務関係を明確にし、真剣なパートナーシップであることを対外的に証明できます。

また、住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」に変更することも、事実婚の証明として有効です。

周囲への説明と配慮を忘れない

親や親戚、職場などに対して、なぜ事実婚を選んだのか、どのような関係を築いていきたいのかを丁寧に説明しましょう。

「別姓で仕事を続けたいから」「お互いの生活スタイルを尊重したいから」といったポジティブな理由を伝えることで、理解を得やすくなります。

また、法律婚を否定するような言動は避け、多様な選択肢の一つとして事実婚があることを伝える姿勢が大切です。

まとめ:事実は「ずるい」どころか「ハードモード」な選択

「事実婚はずるい」という批判は、実態を知らないがゆえの誤解に基づいている部分が大きいです。

本記事のポイント

  • 権利と義務: 法律婚に準じた義務(貞操・扶助など)はあるが、相続権や税制優遇はない。
  • メリット: 別姓維持、家制度からの解放、対等な関係性。
  • デメリット: 相続リスク、税金の不利益、子供の親権問題、緊急時の対応。
  • 結論: 多くのデメリットを受け入れた上で、自分らしい生き方を選んだ覚悟の形。

事実婚は、法律という安全ネットを一部手放してでも

自分たちの価値観を貫こうとする「ハードモード」な選択とも言えます。

そこには、安易な責任逃れや損得勘定だけでは語れない、深いパートナーシップへの希求があります。

法律婚も事実婚も、どちらが上でも下でもありません。

大切なのは、二人が納得し、心地よく生きていける形を選ぶことです。

「ずるい」という色眼鏡を外し、多様な愛の形を認め合う社会こそが、これからの私たちに必要な姿ではないでしょうか。

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