事実婚を選ぶカップルが増えています。なぜ彼らは籍を入れないのでしょうか?
選択的夫婦別姓や家制度への抵抗など、法律婚を選ばない4つの理由と、事実婚のメリット・デメリット、手続きについて徹底解説します。

「結婚はしたいけれど、籍を入れることには抵抗がある」
「パートナーとは愛し合っているけれど、法律婚という形にはこだわらない」
近年、従来の「法律婚(入籍)」ではなく、あえて「事実婚」というスタイルを選択するカップルが増加しています。
芸能人や著名人が事実婚を公表するケースも増え、新しいパートナーシップの形として認知されつつあります。
しかし、周囲からは「なぜ結婚(入籍)しないの?」「何か事情があるの?」と不思議がられたり、将来的なリスクを心配されたりすることもあるでしょう。
愛し合っている二人が、なぜあえて法的な契約を結ばない道を選ぶのでしょうか。
そこには、単なる「こだわり」だけではない、現代社会ならではの切実な理由や、法制度への疑問、そして自分たちらしい生き方を追求する強い意志が存在します。
本記事では、事実婚を選ぶカップルの心理や背景にある4つの主要な理由を徹底的に掘り下げます。
また、法律婚と比較した際のメリット・デメリット、事実婚の手続きや証明方法についても網羅的に解説します。
これから事実婚を検討している方、あるいはパートナーから事実婚を提案されて迷っている方にとって、自分たちに最適な形を見つけるための判断材料となれば幸いです。
なぜ「事実婚」を選ぶのか?法律婚をしない4つの理由
事実婚を選ぶ理由はカップルによって様々ですが、大きく分けて4つのパターンに分類されます。
それぞれの理由には、個人の価値観や社会的な背景が色濃く反映されています。
1. 夫婦別姓を貫きたい(選択的夫婦別姓)
事実婚を選ぶ理由として最も多いのが、「夫婦別姓」を望むケースです。
現在の日本の民法では、法律婚をする際、夫または妻のどちらかの姓に統一しなければなりません(同氏原則)。
しかし、長年慣れ親しんだ姓を変えることによる「アイデンティティの喪失感」や、職場での名義変更手続きの煩雑さ、キャリアの分断などを懸念し、改姓を拒む人は少なくありません。
特に、研究職や経営者など、旧姓で築いた実績が重要な意味を持つ人にとって、改姓は大きなデメリットとなります。
事実婚であれば、法的な改姓手続きが不要であるため、生まれた時の名前のままで生活し、仕事を続けることができます。
選択的夫婦別姓制度が導入されていない現状において、事実婚は「名前を守る」ための現実的な解決策となっているのです。
2. 「家」制度や親戚付き合いに縛られたくない
法律婚をすると、どうしても「〇〇家の嫁」「〇〇家の婿」という意識が生まれ、義実家との付き合いや親戚間のしがらみが発生しやすくなります。
お盆や正月の帰省、法事への参加、将来的な介護の問題など、「家」にまつわる義務感に抵抗を感じる人は多いです。
事実婚は、あくまで「個と個」の結びつきを重視するスタイルです。
戸籍上の繋がりを持たないことで、義実家とは適度な距離感を保ち、お互いの実家の事情に深入りしすぎない関係を築きたいと考えるカップルに選ばれています。
「結婚はしたいけれど、相手の家に入りたくはない」という現代的な価値観の表れと言えるでしょう。
3. 法的な契約に縛られず、対等な関係でいたい
「婚姻届」という契約書によって国に管理されることや、一度入籍すると簡単には別れられない(離婚手続きが必要な)状況に息苦しさを感じる人もいます。
法律婚には「安定」というメリットがありますが、裏を返せば「釣った魚に餌をやらない」ような、関係のマンネリ化や甘えを生む温床にもなり得ます。
事実婚カップルの中には、「法的な縛りがないからこそ、お互いに努力し続けなければならない」という緊張感を大切にしている人たちがいます。
常に相手から選ばれる存在であり続けようとする意識が、自立した対等なパートナーシップを維持する秘訣だと考えているのです。
また、離婚歴がある人などが「もう形式にはこだわりたくない」として事実婚を選ぶケースもあります。
4. 同性カップルなど、法律婚が認められていない
現在の日本では、同性同士の法律婚は認められていません。
そのため、同性カップルがパートナーとして共に生きていくためには、必然的に事実婚(パートナーシップ制度の利用など)という形をとらざるを得ないという事情があります。
彼らにとっては「選ばない」のではなく「選べない」という側面が強いですが、公正証書を作成するなどして、実質的な家族としての権利を確保しようとする動きが広がっています。
法律婚とどう違う?事実婚のメリット・デメリット
事実婚には、独自のメリットがある一方で、法的な保護が完全ではないというデメリットも存在します。
「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために、両面をしっかりと理解しておくことが重要です。
事実婚のメリット
- 手続きが不要で自由度が高い: 婚姻届の提出や戸籍の移動が不要なため、手続きが簡単です。また、関係を解消する際も離婚届は不要です(ただし、内縁関係の解消には正当な理由や財産分与が必要な場合もあります)。
- 夫婦別姓が可能: 前述の通り、改姓によるキャリアの不利益やストレスを回避できます。
- 対等な関係を築きやすい: 制度に依存しない分、お互いの意思を尊重し合う関係を作りやすいです。
- 「バツイチ」が戸籍に残らない: 関係を解消しても、戸籍上に離婚歴が記載されません。
事実婚のデメリット
- 法定相続権がない: パートナーが亡くなった場合、法定相続人になれません。遺言書がなければ、財産は全てパートナーの血縁者に渡ってしまいます。
- 税金の配偶者控除が受けられない: 所得税や贈与税の配偶者控除、配偶者特別控除の対象外となります。
- 子供の親権が母親単独になる: 子供が生まれた場合、母親の単独親権となり、父親は認知をする必要があります。共同親権を持てないため、子供に関する手続きで不便が生じることがあります。
- 緊急時の対応が困難な場合がある: 入院や手術の同意書にサインできない、ICUへの面会を断られるなどのリスクがあります(近年は改善されつつありますが、病院の方針によります)。
事実婚の手続きと証明方法(住民票・公正証書)
事実婚は届出が不要ですが、社会的に夫婦として認められるためには、いくつかの手続きや証明が必要になる場面があります。
住民票の続柄を「夫(未届)」「妻(未届)」にする
同一世帯で住民票を登録し、続柄を「同居人」ではなく「夫(未届)」または「妻(未届)」と記載してもらうことが、最も公的な証明方法の一つです。
これにより、社会保険の扶養認定や、事実婚を対象とした福利厚生を受ける際の証明として利用できます。
手続きは役所の窓口で「事実婚としての住民登録をしたい」と申し出れば可能です。
事実婚契約公正証書を作成する
二人の関係性や権利義務(財産分与、生活費の分担、貞操義務など)を明記した契約書を
公証役場で「公正証書」として作成することをおすすめします。
これにより、万が一の関係解消時のトラブルを防げるだけでなく、病院での面会や手術同意の際に、家族としての関係性を証明する強力な資料となります。
また、遺言書とセットで作成することで、相続権の問題をカバーすることも可能です。
まとめ:自分たちらしい幸せの形を選ぼう
事実婚を選ぶ理由は、「別姓を貫きたい」「家制度に縛られたくない」といった、現代的な価値観に基づいたものが主流です。
法律婚というパッケージに頼らず、自分たちの意思で関係を定義し、維持していく覚悟を持った選択とも言えます。
【本記事のポイント】
- 事実婚の理由は、夫婦別姓、家制度回避、対等性の重視など。
- メリットは自由さと別姓維持、デメリットは相続や税制面での不利益。
- 住民票や公正証書で関係性を証明することが重要。
法律婚も事実婚も、どちらが優れているというわけではありません。
大切なのは、二人が話し合い、納得した上で、最も心地よいと感じる形を選ぶことです。
世間の常識にとらわれず、あなたらしいパートナーシップを築いていってください。

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